2023.12.15

第5回 数理モデルデザイン研究会 (Society for Math for Design)

科学分野で説明対象の仕組み(デザイン、メカニズム)を明らかにすることは、観察データから具体的な数理モデルを同定することと関係が深い。また、社会の仕組みや、人々の行動の分析の背後には、暗黙のもしくは明示的な「数理モデル」の仮定が想定され、このようなモデルに基づきデザインがなされている。つまり、「数理モデル」は、現代のデザインにおいて重要な因子である。そこで、「数理モデル」を様々な角度から理解する「数理モデルデザイン研究会」を立ち上げます。

今回は、感情の数理モデル化の研究を積極的に展開されている日永田智絵先生にお願いしています。興味深い話が聞けると思います。是非ご参加ください。

  • 講演者 日永田智絵 先生

「感情の理解に向けた構成論的アプローチ」

感情は人や生物と人工物を分かつものとして、また知能とは異なるものとして捉えられてきました。一方、認知科学や神経科学の分野における「感情」は知能(いわゆる、論理的な情報処理)と背反するものではなく、その一部であると捉えられています。加えて、感情には身体的・社会的な情報を扱うことが重要だと考えられています。本講演では心理学、神経科学、認知科学などの異なる立場から得られた感情に関する知見ならびに、その知見を工学研究に取り込み、近年発展の著しい深層学習や統計的学習理論などを用いた構成的アプローチによる感情研究を紹介します。

  • 参考文献

Chie Hieida & Takayuki Nagai (2022) Survey and perspective on social emotions in robotics, Advanced Robotics, 36:1-2, 17-32, DOI: 10.1080/01691864.2021.2012512

日永田 智絵, Deep Emotion:感情理解へ向けた深層感情モデルの開発, 人工知能, 2021, 36 巻, 1 号, p. 43-50, 公開日 2021/01/01, Online ISSN 2435-8614, Print ISSN 2188-2266, https://doi.org/10.11517/jjsai.36.1_43

日時

2024年1月9日(火) 14:50~16:20

場所

オンライン開催(こちらのリンクから登録をお願いします。)

プログラム

1.日永田智絵「感情の理解に向けた構成論的アプローチ」

2.質疑応答および議論

進行:丸山修

主催:デザイン基礎学研究センター、未来構想デザインコース

レビュー

第5回数理モデルデザイン研究会の報告です。

日時:2024年1月9日火曜日 14:50~16:35
場所:ZOOMオンライン
参加者:29名

今回は、感情の数理モデル化の研究を積極的に展開されている奈良先端科学技術大学院大学の日永田智絵先生に次の内容で講演して頂きました。

最初に、研究の動機として、パートナーロボットの実現、そのための感情の実装の重要性について語って頂きました。パートナーロボットは介護や様々な場面で役立つものと思われます。

その次に、感情の理論について概説して頂き、現在どのような定式化が感情に対してなされているかを概観することが出来ました(大変勉強になりました)。

そして最後に、日永田先生が取り組んである構成的な「感情の計算モデル」とその計算機実験等について紹介して頂きました。考えるべきことそしてやるべきことが沢山ある分野だなと思いました。また、対象が感情であるが故、データの生成や収集においてさえも困難さがあると思いました。

講演後は、脳科学、哲学、心理、数理等のそれぞれの分野の先生方から質問があり理解を深めることが出来ました。

以上です。