アフォーダンス
Affordance
ある概念の本質が何であるのかを前もって確定することはできない。デザインの系において、真理とは経験によって更新されるものであり、何かについての概念を明晰に捉えるためには、その何かに対してどのような行為ができて、どのような効 …
アルゴリズムデザイン
Algorithm Design
アルゴリズムは機械学習分野などを含む情報科学分野の重要な概念である。アルゴリズムとは、計算問題を解くための基礎的な演算等を用いて記述された手段であり、計算問題の入力から出力するなどの諸条件を満たすように設計されなければな …
イタリア未来派
Italian Futurism
20世紀初頭に社会の工業化が成熟のときを迎えると、人々は科学主義に賛同するようになった。このような工業化社会の到来は、芸術にも大きな影響を与えた。その代表例の1つとして、イタリア未来派があげられる。 イタリアの詩人である …
エコロジカル・デザイン
Ecological Design
シム・ヴァンダーリンとスチュアート・コーワンは、1996年の著書『エコロジカル・デザイン』において初めてこの用語を使用し、さまざまな領域における人間の活動を自然の活動と統合し、環境への破壊的な影響を抑制することの重要性を …
音のデザイン
Sound Design
音もまたデザインの対象である。そして近年、その対象は拡がってきている。よい音を聴きたい、奏でたいという人間の美的な欲求を満足するために、楽器やコンサートホールの音響設計が行われてきた。これらは鑑賞することを目的とした音や …
カラーユニバーサルデザイン
Color Universal Design
視覚表示物のデザインにおいて色彩は重要な役割を担っている。視覚表示物において、色彩は視覚情報を構成するための基本構成要素である文字や記号、あるいは図を形造り、さらに、色彩そのものが感情や印象を伝えることもある。このように …
クリティカル/スペキュラティブ・デザイン
critical/speculative design
デザインは、既存の社会体制を維持するたんなる道具となっているのではないか。こうした批判的意識は、19世紀の工業化以来「産業の手先」として機能してきたデザイナーの職業自体への反省を生みだし、たんなる機能性の観点を超えて、そ …
現象学
Phänomenology
デザインされた何かがその客観的なスペックのみではなく、人間にとってどのように現れ、どのような意味を発揮し、どのような価値を持つかによって評価されるのだとしたら、デザインと心理学の関係は本質的で切り離しえないものとなる。心 …
建築プログラミング
Architectural Programming
デザイン活動の起点はどこにあるだろうか。現代では、建築物や設備などの施設(Facility)のデザインを他者に依頼する人(依頼者)と、その依頼をデザインの専門家として請け負う人(設計者)が分化したことによって、設計者はデ …
建築様式
Architectural Style
「アーキテクチャー」とは、コンピューターや社会構造など様々な分野において用いられる言葉であり、設計思想や仕組みといった意味を持つ。これと同様に「建築」という言葉も、実体物でもあり思想でもあるという二義性を持っている。 西 …
コ・デザイン
Co-Design
近代化が進む中で「作り手」と「使い手」は徐々に切り分けられ、人々には「消費者」という呼称が与えられた。さまざまな領域において専門分化と領域の壁が生まれ、デザインも専門的な訓練を受けた人によって行われるものという捉え方が定 …
公共性とデザイン
publicness and design
「目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する」この一連のプロセスがデザインである。多くの場合、デザインの受益者は「ヒト」であり、デザイナーは「ヒト」を中心にデザインしていると言っても過言ではない。そして、ものづ …
広告デザイン
Advertising Design
広告デザインとは、広告主(client)が提供する商品やサービス、あるいは広告主そのものに関する情報を、広くオーディエンスに知らせるために、広告表現を企画・制作することである。コピー(広告表現のことば)、ビジュアル、ムー …
高次のデザイン(小池新二)
Higher Order Design
「高次のデザイン」とは、九州芸術工科大学(福岡市、1968年創立)の初代学長である小池新二が提唱した概念である。九州芸術工科大学は、技術における人間主義(技術の人間化)を建学の理念とし、デザインの国立単科大学として日本で …
国際生活機能分類(ICF)
International Classification of Functioning, Disability and Health
人間を中心としたデザインを考える際、ターゲットという軸によりデザインは2つに大別される。1つは、個々人の趣味嗜好を対象としたプライベートデザイン、もう1つは主に公的な空間において、より多くの人を対象に相互の最適な関係をデ …
混沌マーク
The Konton (Chaos) Mark
九州芸術工科大学の初代学長である小池新二は、「大学を創る」(『工芸ニュース1』vol.39, 1971, 工業技術院製品科学研究所、丸善株式会社)において、九州芸術工科大学の目標を「土木、機械、電機、造船、化学のような技 …
サイバネティクス
Cybernetics
サイバネティクスとは元来、ギリシャ語で「操舵手」を意味する。荒れ狂う波風や天候の急激など、船体が置かれた周囲の環境の変化を取り込み、安定した状況を保ちながら、目的地まで船をいかにして運行することができるのか。こうして無限 …
サウンド・アート
Sound Art
サウンド・アートの領域は、音楽と芸術のあいだの曖昧な場所に位置付けられる。音のデザインに対して着想源となるサウンド・アートの役割は、グラフィック・デザインに対するヴィジュアル・アートの役割と似ている。 サウンド・アートの …
視覚(文化)論
Visual Culture Studies
視覚文化論とは、美術史や文化研究の領域から発展しつつも、狭義の芸術作品のみならず大衆的な映像メディア、工芸・デザイン、広告ポスター、マンガなど、総じて「視覚的」と形容される対象を批判的に考察するためのアプローチを指す。 …
システミック・デザイン
Systemic Design
一般的にデザインは問題解決を目的とする行為だと認識されてきた。しかし、そのアプローチの仕方によっては、逆に問題を悪化させたり、新たな問題を生んでしまうことにもなる。表面的な問題症状にではなく間接的な影響関係をも考慮したう …
社会包摂デザイン
Design for Diversity and Inclusion
社会包摂デザインとは、包摂型社会の実現に貢献するもの・こと・サービス・社会制度などのデザインのことで、とりわけ、人どうしの関係性が多様で包摂的なものへと変化する「しくみ」のデザインを指す。社会包摂(英語では social …
自由美
free beauty / pulchritude vaga
デザインは一定の社会的目的・実用目的を実現することを任務とする。デザインにとっては、そこで構成された形象が実際に役に立つかどうかが決定的に重要になる。しかし同時に、その「かたち」がたんに役立つだけではなく、同時に美しくあ …
主観評価法
Subjective Evaluation Methods
良いデザインのためには、デザインで解くべき問題を知り、その問題に対する解を知り、さらにその解が妥当であったかどうかを知って次のデザインに活かすことが必要となる。この3者は、いずれも利用者・ユーザーの心理や生理と関係するも …
新実証主義
New Positivism
デザインの科学性とは、実験や調査をつうじて問題状況を正しく認識し、それにもとづいてその問題を解決するデザインを考案し、その介入が実際にどの程度、問題の解決に貢献したかを検証することによって担保される、という考え方がある。 …
製品意味論
Product Semantics
多くの場合、デザインされたものはそれを取り巻く人間に対してそれ自身の意味を指し示す。このかぎり、デザイン対象は一つの記号となる。デザインの最終目的とは、モノを構成することではなく、それを通じて、意味を構成することであると …
生物のデザイン
Biological Design
生物の形や機能は、進化のプロセスを通して自発的にできあがったものである。デザイナー“不在”である生物のデザインの中に、いまだ人間が理解したり模倣できていないデザインが多数ある。たとえば1個の受精卵から複雑な形と機能をもつ …
善美の技術 (ソクラテス)
Technology of Good and Beauty (Socrates)
プラトンは、技術における人間主義の原型を『ソクラテスの弁明』のうちに書き記している。ソクラテスはデルフォイの巫女から「私以上の賢者は一人もいない」という神託を伝え聞く。そんなはずはないと思ったソクラテスは、賢者と思われる …
ソーシャル・デザイン
近年、ソーシャルという用語がデザインと近接関係を色濃くしている。デザイン史を振り返ると、19世紀イギリスのウィリアム・モリス、ジョン・ラスキン、クリストファー・ドレッサーに端を発し、1960年-70年代のビクター・パパネ …
脱創造
De-creation
創造性にまつわる構造を構想することをデザインとして捉える。このとき、藝術において、創造的営為はどのような構造を成しているだろうか。 かつてマルセル・デュシャンは「藝術係数(Art Coefficient)」を見出し、創造 …
調性音楽
tonal music
今日、音楽デザインや作曲デザインという語を、領域名としてよくみかける。だが、歴史を振り返ると、音楽とデザインはそれほど結びつけられやすい関係にあったわけではない。むしろ、音楽ないし音楽作品は、芸術(アート)というカテゴリ …
ディゼーニョ
disegno
現代のデザインの概念のうちには設計や計画といった工学的な側面が含まれるが、他方で、かたちの輪郭を手によってさしあたり素描するという含意も存在する。後者の側面は、15世紀のイタリアルネサンスにまでその源流をたどることができ …
テイラー主義
Taylorism
マネジメント・デザインについて語るとき、フレデリック・テイラー(1856 − 1915)の『科学的管理法』(1911年)は一つの道標である。というのもその後のマネジメントの歴史は、この思想をいかに継承し、かついかに克服す …
デザイン思考
Design Thinking
デザイン思考は、アメリカのデザインファーム、アイディオ(IDEO)によって提唱され世界に広まった。アイディオは、シリコンバレーにあるパロアルトを本拠に、1991年にアイディオ・プロダクト・デベロップメントとして活動を開始 …
展示デザイン
Exhibit Design
展示デザインとは、オーディエンスが展示物を鑑賞する場を企画・制作することである。オーディエンスが展示物と対峙し、そこに対話が生まれ、コミュニケーションが実現するための情報環境を整えることが目的となる。ここでの展示物とは、 …
当事者意識
Tojisha Consciousness
人の自己意識の起源は、乳児期に始まる。レディ(Reddy, 2003)は、乳児は他者が注意を向ける存在だと感じ、またその注意の対象は自分であることに気付いているとし、この気付きが、自己と他者を自分の心に表象することにつな …
人間工学
Human Factors and Ergonomics
我々人間の大きな特徴の一つは道具をつくり、使い、そしてそれを発展させることができることである。どの時代においても、生活の基盤となる衣食住はもちろんのこと、労働、学習、余暇、コミュニケーションなどの様々な活動において道具を …
バイオアート/デザイン
Bioart/design
「デザイナー・ベビー」という言葉がある。これは遺伝子操作などの技術によって出生前の受精卵に処置を加えることで、生まれてくる赤ん坊に特定の能力や外見の特長を授けようとする試みを指す。もちろん、この世に生を授かる以前の生命に …
ハクティヴィズム
Hacktivism
ハクティビズムとは、ハックとアクティビズムを組み合わせた語であり、社会的・政治的な変化に向けた意図的なハックを指し示す。 ここでハックとは、デザインにおいてもしばしば行われる、既存のシステム(技術)に介入し、単なる合理的 …
パブリックデザイン
Public Design
パブリックデザインは、公的な場(パブリックスペース)をデザインする環境デザインの一領域であると言える。『空間学事典』によれば「太陽・水・風・緑・土といった自然要素と都市建築群といった人工的物理的要素に対する人間・生態的視 …
反工業化としてのデザイン行為(ラスキンとモリス)
Designing as anti-industrialization (Ruskin and Morris)
19世紀前半のいわゆるロマン主義の時代のあとに、その思想的影響を強く受けた技術思想が英国で展開する。ラスキンとモリスのいう「デザイン行為 designing 」の思想がそれである。 ロマン主義が敵対したのはお …